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【医療施設提案に3D/VRを使いこなす会】セミナーレポート

2019年2月、メガソフト株式会社・東京オフィスで開催された「医療施設提案に3D/VRを使いこなす会」に参加した。
この会は医療施設を新築・改築する際、設計の手戻りや完成後の不具合を削減するために3DCGとVRシミュレーションを活用するためのセミナー。参加者は医療機器メーカーや医療施設の設計や内装に関わる業者が多かった。
本レポートでは、その中でも特に好評だったセミナー1、順天堂大学附属練馬病院の院長補佐で小児外科の医師でもある浦尾正彦氏による「病院建築における3D/VRの重要性」の内容を報告する。


▲【医療施設提案に3D/VRを使いこなす会】の様子/浦尾氏は病院からSkypeで登壇した。(右上・ワイプ内)
「素人が図面から実際の構造をイメージしなければならない
 ・広さ、広がりのイメージ
 ・図面では距離感がない
 ・数字ではイメージできない
 ・現実との比較ができない」
(ここでいう”素人”は医療者のこと)

概要

順天堂大学附属練馬病院は、現在(2019年2月)新棟を建設中で、新棟完成後は現在使用している本館の改装を予定している。
新棟のレイアウトを決める段階において、設計者から提出された図面を医療スタッフが検証・確認をする、という流れだった。
図面を見て”だいだいOK”と思ったが、慣れないなりに繰り返し見ていると「”ん?”と思う瞬間があった」という。

セミナーでは、その「ん?」と思い、大きく設計を変更した内科外来と小児科外来のレイアウトについて、3DCGを使ってBefore-Afterを解説した。

Before-After①内科外来の受付・待合とバックヤード

●Before
内科外来において、最初に設計者から提示されたレイアウトがこちら。

患者は内科外来のあるフロアへエレベーター(図内左「EV」)で上がってくる。
扉が開くと正面に内科の総合受付があり、そこで案内を受けて3つあるそれぞれの受付へ移動するという流れが想定されている。この点のついては特に問題はなかったそうだ。

しかし、スタッフ動線に問題があるという。
右側のL字部分の動線はスムーズだが、図内「EV」上のバックヤードがL字部分と分断されていることが最大の問題だと浦尾氏。このエリアに行こうと思うと「EV」と総合受付前のスペースを横切らなければならない。

また、このエリア(図中「EV」の上)の待合室は狭くて窮屈だということにも気付いたという。


●After
上記の問題を解決した結果がこちら。

受付を1カ所にまとめて広い待合スペースを確保、診察室をすべてL字側へ並べた。
これにより、「スタッフ動線が非常にシンプルに、そして短くなりました。」という。

さらに内科外来にはもうひとつ、気になるところがあったという。それは処置室だ。
当初処置室内には壁があり、スタッフが待機するセンターテーブルから全体を見渡すことができなかった。

「病院は死角があることが非常に怖い」と浦尾氏はいう。壁の向こうで体調を崩した患者にすぐに気づけないからだ。
そこで天井まであった壁を腰の高さに変更し、全体を見渡せるようにした。また空間全体が広い印象になった。

Before-After②小児科外来の動線

●Before
こちらも最初に設計者から提示されたレイアウトから見てみよう。

小児科外来の患者の動きは次のとおりだ。
まず、受付(左下)を済ませると、一部の患者は処置室へ移動し、ここで身長・体重の測定や血液検査を受ける。
その後、待合室へ移動して診察を待つ。診察のあと再び処置室へ移動することもある。
この間スタッフは患者と一緒に待合室と処置室を行き来するそうだ。小児科のスタッフは大人以上に患者を観察する要があるからだという。
また、スタッフが待合室に移動した後、バックヤードや処置室に戻るには、再び来た道を戻るか、診察室を横切るしかない。
つまり、処置室から待合室へ、若しくは処置室から診察室への動線が長いのが問題だという。


●After
その問題を解決案したレイアウトがこちら。
処置室から待合室への通路を追加したのだ。
これにより、患者・スタッフとも処置室ー待合室ー診察室の行き来がしやすくなった。

3Dは医療のプロと設計のプロの共通言語

浦尾氏は最後に
「医療者は医療のプロで病院に対して思い入れがあります。でも図面は読めませんし、図面の中の小さな数字や記号の意味もわかりません。
”3m”という長さは知っていても、通路幅が3mだとどんな感じになるのかは想像できないのです。医療スタッフは建築に関しては素人だからです。
一方、建築のプロは、図面を見れば空間をイメージができると思いますが、医療スタッフの動きや思いのすべてを理解する事はできないと思います。医療のプロではないからです。
しかし、図面の読めない医療者が空間の狭さや壁による死角の存在に気づけるツールがあります。
それが3DCGやVRです。
今回見ていただいたように、3Dならいろいろなことに気づけます。
医療のプロと設計のプロの共通言語として3DCGやVRを活用して欲しいと思います。」と語った。


▲「医療者と設計者の共通言語として3DやVRを活用すれば、
最高の建築をつくることができる」と浦尾氏(セミナーのスライドより)


順天堂大学医学部附属 練馬病院 について

●概要
・災害拠点病院
・2次救急病院
・地域支援病院
・東京都がん診療連携拠点病院
・臨床研修病院
・日本医療機能評価機構認定(3G・V.1.0)

●新外来棟建設コンセプト

<医療者にとって>
 効率的/動線が短い/患者さんに近い
<患者さんにとって>
 案内が明確/迷わない/動線が短い

●公式サイト:https://www.juntendo.ac.jp/hospital_nerima/

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今回のセミナーでは、Before-Afterの解説にメガソフト株式会社の3D医療施設デザイナーを使用しました。
事前に作成した3Dデータをスクリーンに表示、浦尾氏の説明に合わせてメガソフトスタッフが操作しました。