トップ  >  コラムと連載  >  病院の音と声問題をなんとかするプロジェクト  > 透析治療室の音をなんとかする方法  >  アナログ音とデジタル音はどう違う?


音のプロに聞いてみた~透析治療室の音をなんとかする方法(全5回)

第2回 アナログ音とデジタル音はどう違う? ~Web会議の音声がしんどいのはなぜ?~


 にっぽんの病院・編集部(以下:NPB) 新型コロナの影響で、在宅勤務が増えています。また出社していても他社との商談や他の営業所の社員とのMTでWeb会議をする機会が増えてきました。
今、私たちもこうしてWeb会議システムを使ってお話をうかがっているわけですが、パソコン越しの声は、対面で話しているときの声と聞こえ方が違っていて、長く聞いているとしんどいなと感じることが多いのです。
これは対面で聞く声はアナログで、パソコン越しの声はデジタルだからじゃないかと思ったのですが、いかがでしょう?

 株式会社小野測器様(以下:小野測器) その前にアナログとデジタルの違いはご存知ですか?

(株式会社小野測器)
電子計測機器、電子応用機器、電子制御装置及びその関連機器などを製造・販売するメーカー。
本シリーズは、同社サイト内に掲載の「身近な計測」を執筆された石田康二氏がご担当くださいました。


 NPB  アナログとデジタルの違いは、大まかにはわかっているつもりです。
代表的なのが時計で、連続性があるのがアナログ、ないのがデジタル。
音に関係するところでは、レコードはアナログ、CDはデジタルという認識です。合っていますか?

レコードの音はアナログなのは周知の事実。一方、パソコン越しに聞こえるWeb会議の声はデジタルなのか?


 小野測器  はい、その通りです。
音は連続的な現象です。どんなに細かく切り取ってもどの瞬間も音は存在します。
その連続的な音をある間隔で区切り、これをサンプリングというのですが、その区切られた部分毎に量子化し、符号化(表示)したのがデジタル音です。
先ほど例に出されたCDの場合、サンプリングの間隔は約23マイクロ秒、つまり1秒間に44,100回の音をサンプリングしていることになります。 実はこのサンプリング間隔は、再生したときの音の高さの上限を決めるものでもあります。例えば100Hzの周波数までを含む信号はその2倍、1秒間に200回の音をサンプリングすればよいのです。
CDは1秒間に44,100 回の音をサンプリングしているので、人が聞こえる音の周波数、つまり20,000Hzの2倍以上を網羅している、ということになります。
一方のレコードは、サンプリングをしていないからすべての音が含まれていることになります。 (より詳しい情報は「身近な計測>アナログとディジタル」をご参照ください)

アナログとデジタルのイメージ。連続的なアナログ音(上段)はどの瞬間にも音が存在するが、連続性のないデジタル音(下段)は音がないタイミングがある。

 NPB  なるほど。サンプリングの回数と周波数が関係することは知りませんでした。
サンプリングの間隔を調整することでデジタル音を調整できるということですね。

 小野測器  そうですね。
さて、話を戻しましょう。
確かに直接聞く音声とWeb会議のパソコンからの音声は異なります。でも、それはアナログとデジタルという違いだけではありません。
Web会議における、音の発生から受聴するまでの流れを考えると、簡略化しても、
発声→マイクロホンで受音→アナログ音をデジタル変換(PC、会議システムのソフト)→伝送(ネット)→デジタルデータをアナログ変換(受聴側のPC、会議システムのソフト)→アンプ・スピーカ→受聴となります。
アナログ・デジタル変換時、また、伝送のためにデジタル信号が圧縮されることもあるでしょうから、元の信号がそのまま保たれて受聴者に届くということではありません。

Web会議の音声は変換や圧縮で少しずつ変化し、相手のもとに届いている

また、それとは別の理由もあると思います。
Web会議の時は、発声側の暗騒音、例えば他の人の声や、空調騒音など発声者のいる空間に存在する音も発声者の声と一緒に伝送先に伝わりますね。発声者は、あまり自分がいる空間の暗騒音を自覚していません。
ですから、会議参加者がマイクミュートしていないと、発声者が話していない時に、暗騒音が共有されることは、Web会議ではよく経験することです。
また、通信速度の問題で遅延もありますから、直接話すより少しまどろっこしいと感じることもあるでしょう。
そういうことから、Web会議でパソコン越しに聞こえてくる相手の方の声が気になるのは、デジタル・アナログの問題以外の要素が大きいと考えられます。

 NPB  私たちの空間には、複数の音が存在していて、マイク越しにそれらも一緒に受音され、変換・伝送というフィルターごとに少しずつ変換され、パソコンから聞こえてくる。つまり、直接聞く音とは異なるから違和感を感じている、ということですね。

(にっぽんの病院編集部 2021/02/24)

音のプロに聞いてみた ~透析治療室の音をなんとかする方法

 第1回 心地よい音とは? ~心地よい音と不快な音~
第2回 アナログ音とデジタル音はどう違う? ~Web会議の音声がしんどいのはなぜ?~
 第3回 音を変える方法 ~大きさを変える方法、音色を変える方法~
 第4回 機械はなぜ音がするのか?
 第5回 「音を設計する」~透析治療室内を快適な音環境にするには?~