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【眼科】のレイアウト

手術機能を備えた標準的な【眼科】のレイアウトを例に、全体的な設え、必要な各部屋の役割について、まとめました。

全体的な設え

①バリアフリー
【眼科】に限らず、医療施設の室内は完璧なバリアフリーにしなければならない。トイレ、屋外の駐車場、出入り口へのアプローチも車椅子対応とバリアフリー対応が必須。
また、見えにくい人が多い【眼科】は、サイン計画にも気を配り、単なるカラーコーディネートだけでなく、照明も含めた明度差・彩度差で患者を誘導する工夫も必要とされている。


院内はもちろん、駐車場やアプローチのスロープなど、外構にもバリアフリー対応が必要

②ユニバーサルデザイン/サイン計画
バリアフリーのみならず、健常者をも考慮したユニバーサルデザインに留意したい。
手術室や暗室などはトラブルにつながる室でもあるので、誘導のためのサインだけでなく、勝手に入られないよう表示する。

③床材
音が反響しない、立ち仕事中心のスタッフが疲れにくい、汚れたらタイル単位で交換できることなどから、カーペットタイルを使うことが多い。
バリアフリーを考えると土足がよい。

④ネットワーク環境
新設の医療施設は電子カルテが基本なので、LANケーブルや電源コードを自由に配線できるような床にする必要があり、設計段階から仕様に盛り込む必要がある。
LANは、画像などの重い(大きいサイズの)データをやり取りすることが多いため、またカルテ情報(=個人情報)へ侵入されにくいという理由からも、有線LANが主流。
院内専用のLANと外部インターネット用LANを別系統にするのが良い。

各部屋の役割

①風除室
冷暖房の熱効率の観点から、いったん風除室に入ったのち、医療空間に入るようにする。
また、雨の日には雨具、寒い季節には上着の着脱、車椅子やベビーカーの準備等ができるスペースとしても活用できる。
スリッパへ履き替えない施設が増えているが、土の道が多い地域などはやむを得ない場合もある。その際は、スリッパを重ねないで置ける工夫が欲しい。

②待合室
患者が受付を済ませて検査室への案内を待つ間、また診察が終わった後、会計を待つための空間。
来院者の数に合わせて広さや席数の設定が必要。

③受付
来院した患者のカルテを準備したり、診察後に会計を行うスタッフのコーナー。
院内処方の場合は、薬棚も受付周辺に設置する。
(眼科は薬の種類が少ないため、院内処方の医院もある)

④トイレ・洗面
バリアフリーを考慮して設備を整える。

⑤コンタクトコーナー
コンタクトレンズを処方する際に、コンタクトレンズの装着脱の説明や練習をするコーナー。

⑥一般検査室(明室検査室) 兼 中待合
受付を済ませてカルテの準備ができた患者が、一般的な検査を行うスペース。
また、検査が終わった患者が診察を待つ中待合のスペースでもある。

⑦白内障術前検査
白内障手術を受けるために必要な検査を行うスペース。一般(明室)検査室内に設けるが、デリケートな検査なので通常の検査とはスペースを分けるのがよい。

⑧暗室検査室
暗室で行う特殊な検査(視野検査など)のためのスペース。

⑨リカバリー室
手術後のリカバリーのためのスペース。

⑩手術室
硝子体手術や白内障手術などを行う。
空気清浄度(NASA基準クラス10000程度)を維持する設備、手術に必要な専用の医療機器、手術用器具類の滅菌用設備(機器)なども必要で、ディスポーザブル品等を準備する収納スペースが必要。
機器、器具、ディスポーザブル品等は⑫準備室の収納スペースと合わせて検討する。
※顕微鏡をはじめ、大きさや重量の注意する必要がある。

⑪準備室 兼 処置室
手術や処置に必要な機器・器具・ディスポーザブル品等の収納・準備を行うスペース。
手術室、準備室、リカバリー質感の連絡を考えた動線とする。

⑫レーザー室
レーザー治療を行うための部屋。

⑬診察室
医師による診察を行うための部屋。主にスリットランプによる検査を行う。

⑭問診室
初診患者へのヒアリングの他、病状の説明や、中には支払いに関する相談なども行えるよう、診察室とは別に一部屋設けている。

⑮バックヤード
患者に会うことなくスタッフが行き来するための通路。スタッフ間の情報共有などもこのスペースで行えるようにする。

*病院や診療所の構造設備の基準は、医療法により定められています。