転んだときの衝撃を約50%軽減し骨折リスクを防ぐ(同社資料より)床材「ころやわ」に新製品「どこでも ころやわ」がラインナップされた。
「ころやわ」は、2020年に販売開始したマジックシールズ社の介護用床材。
「ころやわ」の上を、歩く、杖をつく、車椅子で通るときには通常の床と変わらない硬さだが、転倒するなど、急激に力が加わると、独自の開発したブロック(構造体/メカニカル メタマテリアル)が大きく変形して衝撃を受け止める。
高齢者の転倒による骨折リスクを減らしたいという思いから開発され、これまでに200以上の病院・福祉施設などに6000枚以上導入されている。
導入施設から大腿骨骨折の報告はないという。
新製品「どこでも ころやわ」は、導入施設のスタッフから「置きたい場所に床材の大きさが合わない」という声が寄せられたことから開発をスタート、3つのパーツを並べて置く初期モデルから、24cm×24cmのパーツの並べ方で大きさを調整できる「どこでも ころやわ」へと進化させた。
「どこでも ころやわ」の製品構成は、ブロックパーツ(独自技術で特許出願中)と、スロープパーツ(スポンジ製)、表面カバーとなっている。
ブロックパーツとスロープパーツを設置する場所に合わせてパズルのように並べ、表面カバーを置くだけで設置が完了する。
パーツの並べ方で設置面の形を変えたり、並べるパーツの数でサイズも変えられるようになったのだ。
新製品「どこでも ころやわ」は、2022年4月13日より病院・福祉施設向けに販売中だ。
今後は、一般家庭用にも販売できるよう準備を進めている。
新製品「どこでも ころやわ」において、表面カバーの見直しは部品のパーツ化と同様に大きなポイントといえる。
1枚の表面カバーで全体を覆うことにより、初期モデルの課題でもあった接合部分からの汚れの浸透を防ぎ、養生テープで貼り合わせるという施設スタッフの負担も軽減できた。
病院の感染対策委員会で養生テープの利用が難しい場合もあるため、必ず対応したかったという。
もちろん、機能面でも大きく進化させた。
初期モデルより、医療・福祉施設でのシェアを持つ東リ株式会社の床材を採用していた。対薬剤性能、抗菌性能を持つ製品だ。
フローリング風からデザインを変更したのは「より空間になじみやすいように」との配慮だが、最大の進化はその裏面にある。
同社 取締役/CMOの宝田氏は「”一度置けばずれない”というものをどうしても開発したかった」という。
この「置くだけでずれない」機能は、東リ社と2社共同で開発し特許も取得した。
また、靴で歩き回っても大丈夫なものにするというところもポイントだった。
長期使用に耐えられるよう、月単位で使っても端から捲れてこないかという試験も行った。
より安全な環境を作るため、努力を惜しまない同社の思いがうかがえる。
最近は病院・福祉施設に加え、住宅、電車、バスへの導入相談や、床ではなく壁用のものへの要望なども寄せられているという。
骨折リスクを軽減できる環境を提供したいという目的を実現するため、マジックシールズ社の開発はこれからも続けられそうだ。
部屋全面から、ベッドとトイレの動線、あるいはベッドまわりのみと、様々な場所と広さに設定可能な点が好評の「どこでも ころやわ」。
導入の際には、経験豊富な同社の理学療法士らが提案から設置までフルサポートしてくれる。
お問い合わせは、同社サイトにて。
(2022年6月・編集部)