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日本医療のアウトバウンドとインバウンド (2)

日本の医療を海外へ、海外の患者を日本の病院へ。

金谷氏 日本の国民皆保険制度仁術という考え方が、世界的に社会的価値を認められ尊敬されていると聞きますが、実際のところ海外と比較してどう思われますか?
医は仁術なり
山本氏 日本は、江戸時代に海外から医療を学んだわけですが、その頃から仁術という考え方があったようです。
仁術というのは患者さんのことを思ってやる、報酬は求めないという部分にあったわけです。当時の医者はお金のない人からはお金を取らないで診ていた、そういうのがなんとなく仁術って言葉になって伝わってきていますが、実は金持ちからはしっかり代金を取っていました。
そういうことも踏まえて1961年に国民皆保険制度ができました。日本は、みんなで大事なお金をシェアして健康を維持して病気を治しましょうというシステムが一番いいと判断したわけです。
ですが世界を見るとこういうシステムはどこにもない。ナショナルヘルスケアのシステムはあるけれど対象の病院はナショナルホスピタルだけとか、医療は全国民が無料で受けられるけれど税金がとても高いとか、日本と同じような仕組みだが集まるお金が少ないので提供できる医療に限界があるとか。ですが、国ごとに事情や制度は違うけれど、医者同士で話をすれば、やはりどの国でも医療は仁術ってことが伝わってきますね。

金谷氏 日本は稀にみる長寿国家で、国内のどこにいても高度な医療が受けられて、大学を卒業した医療者も潤沢に供給されています。そういった中での医療や医療機器の供給状況についてどうお考えでしょうか?
山本氏日本列島にはCTがいっぱい 今話したように、国民皆保険制度のおかげで日本は、誰でもどこでもいつでもきちんとした医療を受けられるようになっています。
日本中の医療機関が一斉にCTを導入したときがあって、一時期ヨーロッパ全体のCTの数よりも多くなったことがありましたが、それくらい日本はどこにいても同じ医療を受けられるようにと資源が準備されています。ですが今、施設にCTはあるけれど患者がいない、CTが余ってしまうという時代に入ってきているわけです。
医療は専門分野化が進んでいて、分科すればするほど技術は上がってはいるけれど、すべての地域にすべての技術が揃えられるかというとそうはいかないし、揃えたとしても患者が足りないわけです。
そこで地域創生という観点からも、海外から患者さんに来てもらおうという話になるわけです。

テレビで「医」をプロモーション
金谷氏 医療従事者の教育についてはどうお考えですか?
山本氏 昔アメリカに行ったときにテレビを見ていたら、医療ドラマや番組、CMをたくさんやっていて「医療をこんなに公にやっているんだ」と強く感嘆しました。日本も患者さんにわかってもらうためにはもっとプロモーションをやってかないといけないと思いましたね。ただ、医療のことがわかればわかるほど患者さんの要望は高くなっていきますから、医師のほうも対応を考えないといけない。最近の傾向を見ていると、患者さんへの説明の仕方やそういう意識については、医師の中に格差ができているような気がします。そこをどう教育するのかというのは課題ですね。

金谷氏 医療機器メーカーさんに、求めることがあれば教えてください。
山本氏 医療機器がどう使われるかということを知っていてほしいですね。
機器の性能も必要ですが、実際に使って患者さんがどういう結果を得られるのか?ということが非常に大事です。どんなに高機能でも、患者さんのデータが変わらなければ意味ないわけです。医者が機器を使ったらデータがこう変わってきたという結果を出していって欲しい。そうしないと、医療に還元されない。新しい機器に替えたらこれだけいい成績が出ました、これだけ早く患者さんを診ることができて正確になりました、効率がよくなりましたとか、そういう数字をメーカー企業には持っていてほしい、そういうことを希望しますね。

●インタビューメンバー紹介

山本修三氏
一般社団法人Medical Excellence JAPAN代表理事(理事長)
内閣官房健康・医療戦略参与
日本病院会 名誉会長
北野選也氏
一般社団法人 Medical Excellence JAPAN 業務執行理事
金谷浩明氏
一般社団法人 Medical Excellence JAPAN 技術サービス部部長
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