Read Article

日本医療のアウトバウンドとインバウンド (4)

日本の医療を海外へ、海外の患者を日本の病院へ。

金谷氏 去年から、医療施設の3Dモデル化に着手して、いくつかのパイロットスタディをされ、最近では自主事業案件で展開をしていますが、3D医療モデルで、具体的にどのような活動をしてどのような効果や反響があるか教えてください。
北野氏 効果や反響の前に、海外の現状についてお話します。
ある国から協力を要請されて行ってみますと、すでにある建物の前で「この建物を病院にして、3階にMRIを置きたい」とおっしゃいました。果たして、物(MRI)は入るのか、動線は大丈夫かと疑問を持ちました。きれいなエントランスや外観のイメージはありますが、中にはいい装置が入り、いい医師を置けばいい医療ができるというところで考えが止まってしまっています。日本の病院は患者さんの動線と医師の動線は分けるというのが主流ですが、そのような考えが全くない医療機関というのが大半です。そういうところでは、口頭だけでは日本の医療は伝わりません。
医療施設への考え方には格差があるですが3Dで医療施設を作って、機器の配置を見ていただいたり、動線を説明したりしますと、みなさん腹に落ちるといいますか、「あ、なるほど、今まで自分たちが考えていたのではだめだな」と気づいてくださいます。
平面の図面が何を意味するのかはわからず建物を作ってしまい、できてから壁をぶち壊して作り直しているのを何度も見ていますので、やはり作る前に何が求められていてどんな医療をしていくのかというのを一緒に考え、提案していくことが必要だと思うのです。後戻りがないように、最初から3Dで提案すると、非常に納得感、リアリティを持っていただける、これが3Dの強みだと思います。相手の方の顔を見ていて、納得していただけたという感触を得られたときは、私たちも大変うれしいです。
さらに、3Dで説明した現地の業者の方からは、もっと3Dモデルを作ってほしい、さらにそれを実際に3Dプリンターに出したものを見たいとおっしゃっていただきます。実際に作る前に施設を見られるということは、多額の投資をする上で、現実に即した判断につながるのではないかと感じています。

金谷氏 MEJでは会員企業さんを対象に「MEJ勉強会:医療施設3D-VR」を開かれましたが、その活動のねらい、また参加された皆さんの反応はいかがでしたか?
北野氏 医療施設の3Dモデルを会員企業のメガソフトさんから参加された皆さんにご説明いただき、3Dでこんなことができる、こんなに簡単にできる、ということを体験していただきました。参加された方からは、非常に満足度の高いコメントをいただいています。
個社の努力でできることはもちろんあると思いますが、他社と協力関係を持つことで簡単にできてしまうこともあります。これはMEJという会員組織だからできる非常に大きな強みであり、今回MEJ勉強会を実施した狙いでもありますので、実施した効果はあったと考えています。

「MEJ勉強会:医療施設3D-VR」の様子/左:山本理事長からご挨拶の場面/右:3台のVRで医療施設モデルを体験

金谷氏 実際に3Dモデルを使って今後いろいろな展開戦略、具体的な戦術を含めて、活動の方向性についてお話いただけますでしょうか。
北野氏 海外から病院を作りたい、日本の医療機器を導入したいというお話をいただいたときに、これまではMEJの会員企業各社と一緒にミッション団としていき、各社がそれぞれに製品を提案してまいりました。
ですがこれからはそうではなくて、まず日本の医療はこういう風になされている、こういう動線を想定し作られた特徴のある病院である、この病院はこういう良さがあってこういう成果を上げているというところを伝え、そこに入っている機器については各社が伝えていく、そういう流れでプレゼンを行っていきたい。相手にとってわかりやすい医療の導入、そこに機器がどう効果を発揮するのかと、そういった方法で新興国に提案していければいいなと考えております。

●インタビューメンバー紹介

山本修三氏
一般社団法人Medical Excellence JAPAN代表理事(理事長)
内閣官房健康・医療戦略参与
日本病院会 名誉会長
北野選也氏
一般社団法人 Medical Excellence JAPAN 業務執行理事
金谷浩明氏
一般社団法人 Medical Excellence JAPAN 技術サービス部部長
URL :
TRACKBACK URL :

Leave a comment

*
*
* (公開されません)

Return Top