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編集部

<002>音仕事人さんとの会話

このプロジェクトのことを知人に相談したら、”音”を仕事にしている人がいるとのことで、
早速その方に連絡を取ったところ(以下、"OTO氏”とさせていただきます)、SNSのチャットでしばしお話をうかがうことができたので、その一部を公開。今後の参考にさせていただこうと思う。(※NPBは編集部)


OTOさん、はじめまして。実は、イヤな音を消して病院を快適にする、というプロジェクトを立ち上げまして。
まずは敵(半周回って味方にしたい)をよく知らねば、と思っています。音のこと、いろいろ教えてください。


はじめまして。こちらこそ。
環境の中での音の在り方は大切な事かと思います。
僕はゲームやエンターテイメント系のサウンドから券売機、測定機器等の業務用機器等のサウンド制作をしています。
業務用機器の音は環境の中に配慮された音を鳴らせる様に場所、ユーザー層、音の感じ方を考慮する際、大学や研究機関と連携して取り組んでます。


▲ゲームから、医用機器まで。消したい音がある一方、役割を持たせて意図的に出す音もある。

病院と言えば、以前【HOSPEX】と言う展示会に行ったことがあります。
仕事柄”サウンドソリューション展”というのが気になって見てきたのですが、機器のサウンドというより院内での騒音軽減対策、防音設備、流すBGMやスピーカーの展示等が主でした。
嫌な音を消していくのは環境設備も関係してくると思うのでご参考までに。
ちなみに今年は11月予定ですが、サウンドソリューション展の案内は見当たらないので今年はないのかな??


情報ありがとうございます。
偶然ですが、【HOSPEX】は私もここ数年毎年見に行ってました。
このプロジェクトとは関係なく参加していて、潜在的に気になっていたんでしょうね、音関係の展示は毎年興味深く見学していました。
最近はサウンドソリューション展という括りはないようですが、BGM系、マスキング系(会話を聴き取れなくする)、吸音ボード系、の3つに分けられている印象ですね。

ちょっと逆な話になってしまうのですが、病院内の音をすべて消すのは危険な気もしています。
スタッフさんたちは他の作業をしながら室内の機器の音を聞いていて、その音で機器が問題なく動いている(治療が正しく行われている)ことを確認しているんじゃないかなと。
なので、ぼんやりとイメージしているこのプロジェクトの最終形は、「この音を消して」と言うとその音だけ消すアスマホアプリです。
ただ、果てしなく先のような気がしています。
(;^ω^)


▲機器の稼働音や患者の寝息など、音は、医療スタッフにとって大事な情報源なのかもしれない


多くの機器類が「ピ、ピー」とビープ音で鳴る物も多いので、快適に鳴らせる様に検討していく事が必要かと思います。
仰られてる様なスマホアプリも技術の進歩で出てくるかもしれませんね。


ビープ音を決めるときは、どんなことを考慮されるんでしょうか?


複数台使用する環境なら、どの機器からの音なのかを分かりやすくさせる工夫は必要だと思います。


なるほど。確かにそれ、必要ですね。
どの機器のアラームがなってるかわからなければ、なかなか対処できませんものね。

ところで、そもそもな話なのですが、どんな音が快適で、どんな音が不快かという指標はあるんでしょうか。
大きさとか周波数とか、やっぱり音色なんでしょうか。
透析室はたくさんの機器が一斉に動いていますよね。消せないなら、せめてランダムにならずにうまくシンクロするとかもありなのかもと思ったりしてます。
一定のリズムを刻むと不快感は減るように思ったり。


快適、不快はその場の環境にもよりますし、音は人ぞれぞれ感じ方も違うので最終的には今までの統計データや事例を元にまとめていく感じになるかと思います。
ただ、現状ビープ音だったものが専用の音に変わるだけでイメージは変わりますね。
それと周波数は高齢者がターゲットのものは高域成分を減らすとか、難聴気味の人は聞き取れる帯域が限られているので、その辺りのバランスは考える必要があると思います。
それらを含めて音色というのは大きく印象が変わりますね。その中で機能性もありユニーク、印象的な音を提案していく感じです。

技術的な問題はあるかと思いますし、一定のリズムを聞き続ける事での心理的影響も考慮しなくてはならないのですが、ランダム、シンクロというのは僕の様なサウンド制作者からするとその状態を聞いてみたいと思ってしまいます。 ^^


▲"機能性もありユニーク"で思い出したのが電子レンジ。
かつてはシンプルなチン♪という音だったが、今は電子音やメロディが主流になっている


以前、JR天王寺駅で「電車出ますよ♪」メロディがあちこちで鳴っていて、和音にもなっておらず気持ち悪いなぁと感じたことがあったんです。
せめて一定間隔で輪唱になってるとかだといいのにと。 (^^♪


和音等の調整は大事ですね。
絶対音感のある人はそれが不快に感じる事もありますからね。
輪唱で鳴れば面白そうですね。列車は遅延もあるので難しいのかな?


これから(新型コロナの影響でいつになることやら…ですが)
透析管理装置の稼働音を計測したり、吸音ボードで囲ってどうなるか、などを試したいと思っています。
そのために必要な機器類ってどんなものがありますか?参考までに教えてください。


稼働音をなら騒音計で計測するのがいいとと思います。
アプリもありますが、実機の方がより精度は高く測定できるでしょう。


騒音計ですね。調べてみます。
今日はお忙しいところ、いろんなお話をありがとうございました。

処置室やERなどいくつかの機器が複数配置されるような室内では、機器同士の音のあり方も重要だということに気づけた。
必要な音と不要な音を、うまくコントロールできるよう、方法を考えていきたいと思う。


▲患者が見た医療施設のデザイン>2.透析室の問題では、最初に「騒音の問題」が書かれていた。

(にっぽんの病院編集部 20/04/27)