外来診療に加え入院設備と透析治療室を完備する八木クリニックの設計者にお話を伺いました。
お話をうかがった方
戸矢崎 弘美氏 インテリアプランナー
(略歴)
1983年 武蔵野美術大学大学院工芸工業デザイン科インテリアコース修了
三輪正弘環境造形研究所を経て、THワークス設立、
現在(一社)日本インテリアプランナー協会 東京 理事 総務委員長
「私の経験がこれから同様の施設を設計しようとする方の参考になれば」と、当時の図面やお写真もご提供くださいました。
八木クリニックの病室は全部で5室。高齢の患者も多く、同じような室内では病室を間違ったことに気付かないもあることから、病室ごとに部屋全体の色を大胆に変えた。
また、外観同様「暗い」「真っ白」な病院イメージにならないよう景色を楽しんだり自然な明るさを感じられるよう、工夫もした。
<厨房室>
食材の検品室と隣接させて、食材の移動距離を短くした。
食器は業務用食洗器で、まな板や布巾類は滅菌機でそれぞれ滅菌する。
調理の効率化のため、飲食店で使われている、煮る・焼く・蒸すができるスチームコンベクションを導入した。
(画像はイメージです)
<停電時の電源>
医療機器のための電源は、先に機器の設置場所を決めてから、そこから近いところに用意した。医療機器は日々進化し入れ替えもあること、電子カルテ化が進んでいることなども受け、予備の電源(コンセント)も相当数用意している。
また、停電時の電源供給のため、手術室横には充電車との連携設備を設置して、非常時にも備えている。この設備は、将来、自家発電機を導入した時には、屋上に設置することを想定し、同じ経路で院内に電源供給が可能なようになっている。
<階段>
2方向避難の経路確保も視野に入れて2か所設置している。待合横の階段は患者や見舞客も利用する表向きの階段、奥の階段はスタッフが利用する階段と緩やかに区別している。奥のスタッフ用階段の下は物置として利用。一部の備品類は勝手口から納入してここに一旦保管することができる。